[>>134笑い声に包まれた中、俯いてしまった少年の肩に少女はそっと触れた。]
だいじょうぶですよ。
わたしのなまえ、よびにくいのです。
[だから気にしないで、と笑いかけた。
少女も昔はぐれーちぇ、と言っていた事もあるのだと明かし、一緒にお庭にいきませんか、と誘ったのだった。
花竜達の遺した花を彼にも見て貰いたくて。
ヤコブはその後何度も訪問してくれたし、少女もヤコブの家に訪問した。交流の時間は少女にとって楽しみな時間の一つとなった。
彼は少女にとって初めての同志であり、一番近しい異性である。
こちらは余談であるが、少女の名前はプルファー家最高の騎竜師と名高いマルグレーテから取っている。
早世した兄に代わり、当主となって領地と血筋を守った賢く勇敢な騎竜師。
数代前で彼女に会える筈もないけれど、尊敬しているのだと何度目かの訪問時にヤコブに話した事もあった。*]