―――…と、この通り旅先で上の空な妹だ。
悪いが俺達は薬局に寄ってから次の目的地に向かう。
後で必ず追いつくよ、天龍寺に野宮神社だろう。
……間違えないさ、天龍寺、野宮神社の順だ。
[態々二度繰り返すのは意図を多分に含ませるが故。
そうして、そのまま妹の手をするりと一撫でしてから解放。
代わりの味噌汁が運ばれてくると、訳知り顔の兄が悪戯めいて笑う。]
椀が持てないなら、手伝うぞ。
それとも、口まで運んだほうが良いか?琉璃。
[冗談半分の残りは本気の色合い含ませて。
改めて食事を始め直せば、噛み締める湯葉は仄かに甘く舌鼓。
淡白だが、彼女の隣で摂る食事は、やはり世界で一番旨かった。*]