[やがて嗚咽が掠れ、顔を覆っていた両手が緩く動く。
指で目元に残る雫を掬い落として、ゲオルグの肩口につけていた額を離した。
窓からそよぐ潮風が濡れた頬を撫でていく]
………あーぁ……
ウェルシュ以外に泣くところ見られるなんてね。
[泣き腫れた目元が少し赤いのはさることながら、泣くところを見られたのを恥じて頬まで紅潮する。
今まで、ここまで泣くことはほぼ無かったし、泣いたとしても、幼い時に癇癪を起こしたり、幼馴染の前で悔し泣きした時くらいだ。
人前では泣かないようにしていたため、穴に埋まりたい気持ちでいっぱいだった]