[撤退する、という盟主の決断は、鉦の音となって全軍に伝わる。重歩兵の部隊はそのままじりじりと後退を続けた。もっとも先まで進んでいる軽歩兵の部隊の中では混乱が起きるだろうが、混ぜておいた目端の利く元兵たちが声を上げ、やがては撤退を試み始めるだろう。本来ならば彼らを支援し、撤退を指揮しなければならない盟主は、この時、なにもかもをかなぐり捨てて走り出していた。]