― 数日前・首都カルボナード ―
[随分と高い買い物、とのルートヴィヒの言>>158に、瞬時苦笑めいた影が過ぎった。
そうだろうと思う。だが同時に、程度はともあれ買わずにおかなかったろうとの思いも胸の内に落として]
タクマ。どう思う。
[どこか楽しげに副官へと問いを投げたのは、かの扶翼官を見送った後。
穏やかな物腰のうちに、鋭い刃の煌きを秘めた青年だった。その芯の強さ、真っ直ぐに向けられる視線の強さに、男は心地良さを覚えていた。
敵にすれば面倒な相手と思い、恐らくはその印象のまま、強かに油断のならぬ相手になろうとは思う。
にも拘らず、この胸の内を満たす心地良さはどうしたことか。
敵国の扶翼官は、自国の政治家たちにより溜めた淀みを一気に吹き払ってくれたかのようだった。
その心を隠すことなく、傍らに控えてあった腹心に問う。]