― 回想:魔族が襲った村 ―
[人を虐める趣味は無いと思っていたのだが。それが綺麗な物となれば、また変わってくる。
時間を掛けて出来上がった砂の城を一気に踏み潰すような快楽は心を踊らせ、笑みが浮かぶ。
離せと言われればすぐに離すさ。この高さから。その人を襲うなと言えば襲わないさ。その人だけを。
彼女は今の所、何一つ言葉の選択を誤っていない。それだけ、きっと考えているのだろう。忌み嫌い、侮蔑の対象である魔族の事をそれだけ理解しているのだ。
噫、なんて素晴らしい事だろう。まるで心を見透かされているような事が、こんなにも嬉しいだなんて!]