ー 450年前:大森林 ー
[子供もまた自分の過去に頓着しない。
大樹に蓄積された記憶を共有した時点で己の個としての過去への価値は容易く見失った。
そして、子供は竜が怒っていることは解ったが、何故怒ってるのか解らなかった。]
何でなのらなきゃなんないの?
[言葉には辛うじて出さなかったものの、珍しい動物を捕獲に来たときに、お前はわざわざ名乗るのか、と言わんばかりの首の傾げぶりだった。
闇エルフといえど子供にとって竜はお伽噺の生き物で、珍しい七色のカブトムシとそう変わらないものだったからだ。
想定外だったのは、なにやら偉そうな口を利いている、ということ。]
まぁ、いいけどさー
おれはヴェルザン…って、うわぁぁああ!?
[>>218 轟く咆哮に耳を塞いだと同時。
小さな体は結界の外に弾き飛ばされて転がった。]
…っててて…
なんだよあいつ!絶対ころしてやるかんな!待ってろよー!