[普段は真顔、あっても浮かべるのは微笑程度。
街角に座っていた時のように
開けっぴろげな笑顔を外で見せることは少なくなった。
目の前の、この人の名が
世間に広く知れ渡るようになるにつれ
見合うように、と
与し易い相手だと思わせないように、と
己を必死に変えてきた。
その努力が最も顕著に表れているのが“手荷物”だ。
重たいマニュアル本の束から開放され
身軽になった今の私なら]
そのトランクもお持ちしますよ?
[疲れの残る主君のために
空いた片手を差し出すことだって出来る。]