あれらは、恐らく、[そうして具現化したそれを、もう一つの気配へと差し出した。闇に溶ける、赤い美酒満たしたグラスを金の主に。] かつての我らと、同じことをしているのではないか?[かつて。魔が、未だただの魔であった頃の話。黒き梢の間に力で語り合った魔は、遠い話に密やかな笑み滲ませて、己の瞳と同じ色のグラスを掲げた。**]