……あの、日。
[王子は幾度か下町へ出向く機会があった。
貧相で汚い子供に拳銃を渡す事で、王子の命が狙われればいいと
――何とも消極的発想で動いていた当時の自分。
子供は慣れていたのだろう、その小さな唇で礼を、と
自らの躯を差し出してきた。]
――ああ、思い出した。
あの時の子供か、君は。
[綺麗に磨かれた彼と、当時の彼が重ならない。
寧ろ、当時の顔を覚えてはいなかった。
あの子供の喉奥深くを犯し、蹂躙すると
何事もなかったかのような顔で、子供を其処に残して逃げたのだ]
――待て。「カレル」はどうした。
[銃を回収より早く、カレルの手首を掴もうと指を伸ばし]