[……ずん。と、重い不吉な振動を彼らは感じた。やがて鈍い爆発音、そしてぐらと艦の傾く気配。この艦とて水雷艇への備えはある。だから掠めた程度で容易に沈むはずもない。…──そこへ、ふたつめ。連続した爆発音が足元から起こり、艦がその終焉を知らせる。]「っ、総員退避……!!」[悲鳴のような指令に、また爆発音が重なった。やがて程なく、脱出の艇を海に散らした巡洋艦は傾きを大きくし海中へと沈む。”網”は時を経て、小さな破れ目を見せはじめている*]