貴族。平民。
その区別に関わらず、ナミュールに住む全員が
ナミュールの在り方について考えるようになればいい。
巫女姫と結界にこの国のすべての護りを押し付けるのではなく、ひとりひとりがこの国を守っているという意識を持つようになればいい。
俺はそのきっかけを作るために、
王府に民の力を突きつけ、千年の眠りから目覚めさせるつもりだ。
[だから。
言葉を続ける前に、熱を冷ますように息を吐く。]
貴族諸侯を粛清するのは、本意ではないな。
それはまた別の歪みを産むし、
彼らしか持っていない知識が、今は多すぎる。
[言って、ちらりと傍らの友に視線を走らせた。]