[私も嘘吐きだけれど兄も嘘吐きだった。
潔癖症ではないと初めは言っていたのに
ある日突然潔癖症なんだと言い出した。
話を聞けば最近出来た友人>>2:95にそう言ってしまったのだと言う。
肌が弱いから防護の為、と以前には言っていたのに
友人にそれを告げるのが気恥ずかしくなって
咄嗟に私が白手袋をつける理由を言ってしまった、と。
その理由も十分恥ずかしがるべきだと言ったら
私と同じなら恥ずかしくないとよくわからない反論をされた。
それから時折その友人の話を聞くようになる。
「気があうんだ」と「今度紹介するよ」と
そんなことを言っていたのに、それきり兄との“偶然”はなくなった。**]
― 回想/了 ―