― 公国拠点:中級将校宿舎 個人執務室 ―
[長い物想いは、新たに聞こえたノックの音によって途切れる。現実に引き戻された後に入室者の姿を見れば、居住まいを正した。]
デンプヴォルフ大尉直々にか。
シロウ・ファーイーストの件は急ぎの報告を受けているが…
他にも、何かあったのか?
[ミヒャエルからは、シロウの罪状や処遇についてより詳しい話を聞くことが出来た。会議室で為された会話について問うてもみたが、機密ということであれば深くは穿らない。>>211]
いや、ありがたい。
動揺がないとは言わないが、話して貰えないのも困る。
というか、ある程度以上の立場の者は知っておくべき事柄なんだろ?
[その代わり、下級兵には帝国を絡めて上手く言い繕っておかねばならない。万一にも知られれば、士気が下がるどころの話ではない。あるまじき状況だと首を振った。]