や、……別に平気だからっ、このくらい―――
[隣から即座に伸びた、大きな掌>>228
濡れた手を僅かに退けど、直ぐに追い着かれハンカチ越しに包まれる]
……ごめん、なさい。
美味しかったのに。まだ一口しか飲んでなかったのに…
[ハンカチを汚した兄へか、腕を揮った料理人にか、はたまた味噌汁自体へなのか、曖昧な詫び事を並べ。椅子と椀を片づけてくれる店員には、明確な謝罪を告げて頭を下げた]
ううん、そこまで熱くは……、
[味噌汁の温度は程良く、咄嗟に避けた事もある。
本来反射神経は良い筈が、失態ばかりが続いている。
怪我はないかと労わる言葉に、小さく首を振り、ふと兄を見上げ]