[少しすると私を抱えた男性がまた声を上げる。どうやら何処かについたらしい。
"ドクター"という言葉とこの部屋の設備を見て、医務室だとわかった。
────この人、いい人だ。
連れ去られるかもしれない、なんて少しでも考えた自分が恥ずかしく思えた。"ごめんなさい"と心の中で謝った。彼にはきっと伝わらないのだろう。
中から出てきたまた別の男性。彼が"ドクター"だろうか。
眼鏡をかけた男性が何やら説明をしている。それが終わると、"ドクター"は私へと向き直り、優しげな笑顔を浮かべた。(>>218)
────きっと、この人もいい人だから。
そう思うものの体の震えは収まらず、近づかれれば一歩後ずさった。
そういえば、なんと言えば良いのだろう。酔った、といえば伝わるだろうか。
そんな事を考えながら、黙って2人の会話に耳を傾けていた。(>>220,>>224,>>225)]