― サクソー川南岸・修道院跡側 ―
[赤い軌道を画き、炎は即席橋へと到達する。
それと前後して耳に届いた、二種の生き物の鳴き声]
羊……!?
[舟に積まれているものをようやく視認し、オクタヴィアスは手綱を引いた。
川縁まで駆け寄り、無防備に姿を晒す]
何をしている! 羊を岸に上げろ!!
それは平原の民の財産だぞ!!
[この状況で盗みを働いたとは思わないが、戦火に巻き込むのを止めたくて、羊が乗る舟にそう叫んだ。
叫ばれた兵は驚き狼狽えながらも舟を北岸へと寄せ、羊を岸へと追いやる。
そのため、羊を積んでいた舟は攻撃を停止せざるを得ず、また、慌ただしくなってしまったために潜水する敵工兵に気付くのが遅れた。
残りの舟は再度火矢を放つが、次矢は迫る潜水兵に向けられることになる**]