あはっ。良い子。
[首を差し出す姿に、笑みを深めて。
まずは其の首筋に一度、唇を落とす―――、]
少しだけ、痛いよ?
[きっと彼は自分の想像もつかぬほどの齢を重ねた吸血鬼なんだろうけれど、あまりに怖がっているようだったから。
そっと優しく囁いて、拍動する脈へ牙を立てる。
舌に触る血の味は、濃く、複雑な深い味。
清らかな甘さの少女の血液とは別種の、しかし上質の。
酔いが廻ったように、彼へ向ける眼差しが熱を持つ。
深き渇きに未だ慣れぬ若い吸血鬼は、
抱きしめた腕を伸ばして恍惚としながら兎の頭を撫でた]
……美味しい。 思っていた通り。
[夢見心地にそう告げて、再度彼の首へ口付ける。
欲するまま、望むままに、血を啜る。散々喰らい尽くしてから、漸く彼を解放した]