人狼物語−薔薇の下国

263 修学旅行試験


高殿 幸久 フェリクス

[なにやら、思い出すように眼を細めていた男は、
妹の声に誘発され、弾かれたように面を起こす。>>227]

 ――――ッ、琉璃。
 怪我はないか、ほら、手を出せ。

[あっ、と一瞬湧くテーブル。
その声を聞きつけて慌ててやってきた店員にも構わず、
兄は即座に妹の手を取り上げて、ハンカチを宛った。
白出汁の香りが移る椅子よりも、彼女の怪我に気が傾いた。]

 何をぼんやりしているんだ、痛いところはあるか?
 火傷をしたなら後で薬局に寄ろう。

[濡れてしまった椅子を下げる店員に改めて頭を下げ、
緩々と指先で彼女の掌を慰めつつ服の無事を確かめた。
如何にも妹は大豆運がないらしい。]

(228) 2014/10/19(Sun) 14:38:56

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