― 戦いの前・オプティモ西砦前 ―
[男はクロードの問いには答えず、出されたお茶を口に含み、香りを楽しむ。苦さが疼く痛みをまぎらせてくれるのはありがたかった。まだ、ここで倒れるわけにはいかない]
美味いな…ジョーイよりお前の方が腕が上だ。大使殿のいれた紅茶もうまかったが…シメオンの菓子造りの腕といい…
[そういう時代なのか?と、笑って、また口を開く]
結局、最後には、俺達は歩み寄った。
結界はいつか破られる。その時が来て、ナミュールが為す術もなく滅びる事の無いように、血を流す覚悟を持つ事は必要だ。実際に、その時が来れば、躊躇わず先を見据えて進む力と決意…それがなければ、外の世界から襲う嵐には耐えられない。
だが、不必要な血を流す事、恨みを残すことは、避けなければいけない。それは国を内側から崩壊させる。
だから、お前の父は「人を育てる」と言った。
[じっとクロードの瞳を見つめる]