― 回想・軍学校時代 ―
うん、針は指先の訓練にもなるし。
羊毛生地の、この独特の手触りも好き。
実は卒業したフェリクス先輩が、これのやり方知っててさ。
[チクチクチク。目の前にモデルであるラヴィがのんびりとパパイヤの薄切りを食んでるのをみながら、中庭の一角で掌サイズの人形を仕上げていた。人の気配がするときは、鞄の中に隠したりもしながら]
ねえ、これどうだろう。
食べてみたいって気分になる?
[その聞き方もどうなのか、だが。
リアルになっているかどうかの確認をレトにする]
6年の終わりまでには、会心作を作りたいんだ。
ちょっとしたサプライズのためにね。
[ルームメイトの間だとウッカリポロリがあるかもしれないから、誰へのどんなサプライズなのかは内緒にしつつ。
うららかな陽射しの下、ラヴィの姿は平和な時代の象徴だった*]