― 書庫 ―
[そして、男は扉を開けて身体を滑り込ませる。
吸血種になって初めて行う同期との対面は穏やかなものであっただろうか。
出来れば彼を疑いたくないという思いから、喋っている最中でも隙は生じるかもしれない。
書物に目を通していた彼がいつも通りの様子であれば、薄く笑いを浮かべ]
―書庫に酒を持ち込むなんて横着者め。
うっかり零すなよ?
[そこまで言うと男の表情は真剣なものとなる。]
…何か有用な情報は手に入ったか?
俺も情報不足で人に直接聞いたくらいしか知らないんだが…。
―後手後手だが、今イドを飛ばしている。