[人の真似事をしようと思ったことは無い。
出来るとも、思っていなかった。
己にとって孤独と孤高は同じ意味であった。
他に介入するは視線だけ、暇だけ。
己の無聊を真に慰めるものなど、存在を信じていなかった。
だが、この勇敢にして愛い元天使は、未来を予言する。>>212
己の眼には視えぬ先も、彼の眼には浮かぶらしい。
賢しさも是とする怪物は、彼のこうした聡明さも好んでいた。]
君は私に多くの無駄を教える気でいるな?
いや ――――、この私さえ、調教する気か。
[笑う気配で唇を揺らした。
自身は邪視の怪物。闇と恐怖より生まれ、負の感情を食む。
本当なら、食事も睡眠も不要だ。性交だけは、己の求む感情を摂取出来るので好んでいたが、其れも嗜好品でしかない。
けれど、無駄に塗れた徒労を、彼と分とうと思った。>>213]