[…――暫しの眠りの後、うとうとと浅い微睡から意識が覚醒する僅かな時間。
未だ完全に目覚めるのは身体が渋っている。
未だ、先生が其処に居てくれる事を温もりで知ってしまったから]
[五感が如何のというのは、元より、他人より大分敏い方だったので基準が判らなかったけれど、そういえば「これ」が自身の一部であるかのように動かしやすくなったと、おもう。
寝惚けた眼を薄く開いたその一瞬の視線だけで正しい意図を送り、汲み取らせた自分のイドは、休めて居た翼を広げ飛び立った。あの人に――
…――ソマーリュに、自分の無事を伝える為と、彼の無事を改めて確かめる為に]
[目当ての主の元に辿り着けば、自身のイドは、彼の肩で翼を休めてみたりソマーリュの邪魔にならぬ範囲で傍に在ろうとした事だろう**]