[弓矢や投石は、掲げた盾に弾かれる。
盾の隙間を抜けて身体に突き立っても、ゼファーの戦士は容易には倒れなかった。
致命傷でなければ、構わず進む。
隊列を乱さないことと駆け続けることがなにより優先だった。なにしろ倒れれば後続の味方に踏まれ、運が悪ければ命を落とす。
それでも何か所かに開いた穴は、後続が詰めて埋めた。
肉薄する前に相手の弓兵や投石兵は後退し、代わって前方に出てきたのが槍を構えた軽歩兵だった。
ぶつかろうという構えに、得たりと笑う。]
押し潰せ!
[重装歩兵の最前列右端に自らを置いて、吼える。
肉と鉄の塊は、勢いを緩めることなく槍の壁に襲い掛かった。]