急を要するんだ。
この世界の――フラクシヌスの今後についての用件で。
案内、お願いできるかな………?
[伝手があるとはいうものの、
精霊は一族によっては非常に警戒深い。
長との目通りの機会は殆どなく、精霊の領域を侵さず保全を行う名目と、長い時間をかけて培った信頼の元でやっと立ち入りを許されているようなもの。
未踏の場所も存在するし、そういう地の方が多いことだろう。
今回目通りを申し出る立場であるのは、此方だ。
親しくも慎重な物言いを崩さずに、
けれども神殿の権威たる『ルートヴィヒ』の名は明瞭に口にする。]