―戦場の前―
――……今、話しかけて良いかな?
[薄暗くなってきた空を見つめながら、ウェルシュは呟く。
ヴィクトリアの気を散らさぬよう、小さめな声で。]
さっきの話なんだけど……
[>>186 さっきの話というのは、何を指すか想像に容易いだろう。
若し戦火が直ぐ傍にまで迫っていると悟れば、口を閉ざすし。
そうでなくとも、彼女が操舵に集中しているようならば、それ以上語ることはないだろう。
然し、もしヴィクトリアがこちらに意識を移してくれるならば、]
……。そうだね、色々言いたいことはあるけれど。
[正直なことを言うならば、もっと早くに言って欲しかったとか。
何故、姉は自分に手紙は寄越さず、ヴィクトリアだけに連絡をとっていたのか。
(これは若しかしたら、彼女ではなく母の所為かもしれないが。)
色々な想いが、言葉にならない言葉として喉元を駆け巡ったが、]