― 上空 ―[八幡甲板を鳴丸が蹴り、空へと飛び立つ。男が上空から見下ろせば、巨大烏賊の大よその全体像が見えてきた。揺らめく海の中、二つの目玉のやや上部に、薄く色が変わった個所が広がっている。下部の水面がちらちらと色変わりするのは、おそらく八つの足が蠢いているからだろう。その強大さには眉潜めつつも]だが大きいだけで普通の烏賊と変わらぬというのならば……[心の臓3つと低く呟く。男は烏賊には鰓心臓2つと、その合間にも心臓が存在しているのを知っていた。]