待って!私は収容所とは反対のほうから来ました!
鍵は此処に確かにあります!
[ポケットの中から輪に通された二つの鍵を取り出す。
捕虜の調子が悪い時や寝具を入れ替える際に必要だと借り受けていた。
だが天使たちは憤る。
―鍵自体が壊され、そこに魔の力が纏わりついていたという。]
《おまえが手引きしたのだろう》
《あの者たちに同情していたからな》
《これだから人間の女は。魔物を誘惑して連れてきたのだろう。》
ちがう!違う、私は…!!
[真っ青になりながら必死に反論する。
けれど頭に血が昇り、人間を堂々と責め立てられる機会に恵まれた天使たちは、耳を貸す気配もない。
これでは埒があかない―…]