[ 目の前の画家は、只々、静かにそれを聞く
暁を迎えるために新人軍人が思い描く絵空事
絵空事で綺麗事で、夢まぼろしかもしれない
それでも。それが最善の策。
……だとあたしは信じてる。
それは彼女の「きみだけでも」という言葉で
現実を思い知らされる
知らぬ訳ではない。
皆口には出さないだけだ。
1ヶ月ほど前の王宮での夕べ
黄昏の空の下での監査局長の視線やことばは
その一端ではなかったろうか。 ]
………そうね。本当にこのまま、
何事もなければいいのだけど
[ 現に混乱をきたす城内で
それが真実であろうと無かろうと
”何事も”なければいい。
何事も。 ]