回想:花屋Florence 店前 ──
……え、ちょっと、そんな畏まらないでよ。
ヴィクトリアね。
様もいらないわよ。肩がこっちゃう。
[一瞬、自分の階級がバレたのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
元々の彼女の性格上のものなのか、非常に奥ゆかしい謙遜的な印象を受ける。
まさか、あの「宜しくお願い申し上げます」が「お世話になります」だなんて誰が気付けることだろう。>>207]
ああ、アリーセに花をもらったのね。
丁度花びらが開いた時期だから、
今が一番いい匂いがするわよ。
[そう言って、まだ頭を下げている彼女>>207 を覗き込むように、しゃがんで見上げてにっこり笑う。
様々なものが分からずに怖がっているようにも見えたが、花はぎゅうっと握っていたので、たまらずお茶に誘う。
一人で飲むのが寂しかったのもあったけれど。
特に断ることもせず、どうして自分を誘うのか?と言わんばかりの顔で着いてくる彼女の素直さにクスリと笑った。]