…………墓参り、か。 あんたの命日も……そろそろだったよね。[首元の革紐に触れる。 服の下から覗く小さな光に、先に付いているものが宝石である事は伺い知れて。] ねえ、オズ。 あたし、このままでいいのかねぇ。 何だか騙してるみたいで、後ろめたいんだ。 あたしは純粋な好意であの子を宿に置いてるんじゃない。 あたしは、――――を欲しがってるだけなんだ。[もういない夫を呼んでも、返事があるわけもなく。 静かになった食堂で、ひとり、溜息をついた。]