――第2エリア――
[そういえば、だ。
第2エリアを、当てがあるわけでもなく歩く。
このエリアは宿泊・商業エリア。メカニックの手を借りる機械なんかはそう多くはないし、あっても個々人や他部署の管轄であることが多いかもしれない。
それでもすれ違うドロイドたちには異常がないか確認はする。乗客たちのざわめきの中で耳を傾ける。
第2エリアは乗客のエリア。当然第3エリアなんかとは違い、乗客たちで溢れている。
そこで気づいた。
そういえば、いつもよりも、警備が物々しい気がする。
護衛をつけている人も居れば、普段はあまり船に乗らないような格好の人が多い。
あとは記者や学者然とした人たちをよく見かける気がする。
そこでようやく思い出したのは、この船が今チグリスに向かっていることと、そのチグリスで『宇宙連邦総会』なんていう名前の会が開かれるらしいことを思い出した。]
あー…そういえば…?
[呆れ声が女の右肩から聞こえた、気がした。
相変わらず女から離れないクリーム色の毛玉は今は右肩にいる。]
……うるさいっすよー。
アタシには、あんまり関係ないっすから。
[そしてまた、独り言のように言った。]