[話せなくなったのは、驚きと、惑い。
ディーが好きなのはウルだと思っていたからもあるし、男みたいに振舞う自分が好かれる訳ないと思っていた。
何より、誰かを好きになったりしてこちらの事情に巻き込んだらいけないと、そう思っていたから。
だけど。
一つ、一つ、ピースが嵌っていってしまう。
蛟の甲板で、海老に服を裂かれたあの時も。
敵中単身に突入している時なら、あのように肌が暴かれようと取り乱さなかっただろう。
なのに我を忘れる程取り乱したのは、あの場にディーが居たから。
はしたない姿を、見られたく、なかったから。
ウルとディーのやり取りに、いつも微か寂しさを感じていたのも、いつか二人が手を取り合う日が来るのが、怖かったから]