― モーザック崩壊翌日 ―[狂騒と破壊の夜が明けて、日が昇っても魔王は姿を現さなかった。もっとも魔界の住人であれば太陽がある間は行動しないのはよくあること。魔軍はモーザック砦の跡地に駐留しつつ、「残党狩り」という名目で南の峡谷あたりまでちらほらと足を延ばすものもいた。少数でばらばらと動くため、人間のまとまった陣営が見えれば踵を返して逃げ出すものが大半である。だが無謀なものたちは意気揚々と攻めかかり、そのまま帰ってこなかった。]