― 『世界軸』上層・時の広間 ―そんだけ血ぃ流してて、深い傷じゃないとかどの口が言うかな?[言い訳めいた口調で綴られる言葉>>214に、浮かんだのは笑みだった。ただし、尻尾が忙しなくぱたぱた左右に振れている。笑ってるけど笑ってない、というのはそこからも容易に悟れるか。一先ず、いつも背負っているリュックを下ろし、中からいつも持ち歩いている医療キットを引っ張り出す。独自技術と薬草学を駆使して作られたそれは、治癒術にも縁遠い公国では必須の品と言われていた]