[少年が纏わりついてきたのには閉口したが、恩人には違いない。
せがまれるままに、ゼファーのことを話して聞かせた。
男子はみな、お前くらいの年にはもう親元を離れるんだとか、1日中行われる軍事訓練だとか、食料を持たずに山に入って生き延びる訓練だとか。
物騒な話ばかりで子供の母親には嫌な顔をされたかもしれないが、聞かれるままに話した覚えがある。
動けるようになれば、ひとつだけ少年に技を教えた。
剣の持ち方と、人の殺し方だ。
本気で人を殺すつもりなら、剣を振り回すな。
低いところで構えて、切っ先を相手に真っ直ぐ向けて、身体ごとぶつかるつもりで貫き通せ、と。
それくらいしか、礼代わりにできることはなかった。]