上等だ。[指示どおり、シュヴァルツアインを初め、シコンへ向うすべての艦が灯艦飾に浮かび上がっていた。船首からマスト、側舷まで明かりを並べてドレスアップされた艦隊は、夕闇の迫る今、いやがおうにも人目を引く。戦闘の最中であれば恰好の標的以外の何ものでもないが、この満艦飾は煌びやかに攻撃の意志のないことを喧伝し、シコンの決断を言祝いでいた。小さな太陽が海上に現われたかの光をまとい、帝国艦隊はシコンへと滑るごとく入港してゆく。]