人狼物語−薔薇の下国

497 堕天の服従試験


邪眼の怪物 クレメンス

[無欲に振り撒かれる天使の微笑みに大地が喜んでいた。
 彼の光に焦れる草木も、風も、恩寵を受けたがる欲に塗れていると云うのに。

 施しと誘惑の区別のつかぬ彼は、そうしてまた吐息ひとつで誘って見せる。天の所有物だと主張して、神の膝元で幸福を浴びて。>>189

 それがどれだけ、邪なる心を擽るか。彼は知りもしない。]

 ――― どうだろうね、
 私はどこぞの龍蛇と違って天と事を構えるほど、もう血気盛んではないけれど。
 しかし、鍵の無い宝物庫を前に何も覚えぬ退屈な性分でもない。

[形ばかりは彼を敬っていた筈の口調がどろりと溶けた。

 滲み出すのは、淀むような悪性を孕んだ傲慢な微笑。
 唇を震わせる度に、愛撫めいて彼の唇を啄み、茶化す。]

(224) 2018/03/19(Mon) 23:49:21

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