[抱擁を解かぬ腕にすんなり納まりながら、図るは彼との暫しの別離。申し出るのは何時も躊躇を覚えるが、引き延ばしてきた暇乞いを果たす頃合いだろうと。彼の労わってくれる通り、夜ばかりを重ねた身は陽射しを恋しがっている] …ねぇ、貴方。 そろそろ、だと思うの。[何がとは明言せず、そっと額を重ねて囁く。彼の帰りを待ちつつ眺めていた月相も、時機を示唆していた。遠慮がちに言い出せば、彼もまた察していたらしく]