……わたしの名前を呼ばないで! サーラと呼んでいいのは、 わたしを大事に思ってくれた“ロウ”だけよ。[同じ声のはずなのに、あたたかな“ロウ”とは違う響きで肉薄しながら名前を呼ばれれば。>>191かっと身体に奔った感情は、恐怖でなはなく――…怒りだった。昏い笑みを浮かべる彼を睨むようにして、首を横に振った。その見えない心のかつての“絶望”を知り得る術のないまま。]