暇だからー、何か置くー。
雨が降る夜、暇を持て余していた3人は、出ると噂のトンネルへと、肝試しに向かった。
トンネルが見えて来た所で、怖がりなCは「帰ろう」と言い出したが、
「せっかく来たから」、「雰囲気もあるから」と、強引なAはそのまま車を走らせてしまった。
時間が時間だからか、あるいは噂のせいなのか。他には車が一台も見当たらない。
なのでこれ幸いと、Aは敢えてゆっくりとトンネルを潜る。
それには勿論怖い物見たさもあり、又、Cをからかいたいと言う悪戯心もあっただろう。
ともかくそうしていたにも関わらず、そのままトンテルを抜けてしまった。
「どうせもう一度潜らないと帰れないから」と言う理屈でまた潜ったものの、やはり何も起こらない。
一方雨は強くなって来たのか、車を叩く音が強くなって来た。
結局「つまらないから」とまた何往復かしている内、BとCは「もう帰ろう」と言い出した。
不審に思ったAは、出口が見える辺りで車を止め、「どうかしたのか?」と聞いて見た。
最初は、こう言う物が好きなBにまで言われた事で、てっきり飽きたのかと思っていたのだが、2人は明らかに怖がり、震えていた。
『もしかして何か見えたのだろうか?』と言う期待と不安を込め、「何か見たのか?」と聞くが、2人はただ「帰ろう」と言い、カタカタと震えるばかり。
その異様な反応には流石にAも怖くなり、帰ろうと思うものの動揺で上手く車を出す事が出来ない。
雨はそんな彼らを嘲笑う様に、一層強さを増し、耳障りな音を響かせていた…。