………、でもな、俺………なら 壊れないと思うよ[>>194カシムの恐怖に引き攣った顔を、見ている。レトの瞳が硝子玉のように色を失ったのを知っている。ああ、王子の部屋に呼ばれて酒を飲まされた後、彼がどう絶望して壊れてゆくかを見たじゃないか痛みで泣き叫んでいたあの時のレトを、解放されて部屋へ送る時、震えてた細い背中を掴んだ日のあの顔。それは今日見た彼の最後の「色」とおんなじで。なんの色もない、顔と瞳。]