……おや。
庭園散策からお帰りだね、アルビン。
[アルビンが既に部屋を決めたことは知らず、
遅れて現れた姿に声を投げた。>>195
両親の墓参以外では教会に赴く機会も少なく、
実のところ彼の神父姿は未だ見慣れない。
彼の少年期も当然見知っている、が、だからこそ
神父として戻ったのを見た時には多少の驚きがあったものだ。
帰郷した彼にそれとなく転向の理由を問うた際も、
たしか、確とした返答を得ることは出来ず、
だから以後は触れることなく『神父』として相対している。
触れたくない過去は誰にでもある、自身も同じことだ。
足元の黒猫に視線を落とし、それから手元のカップへと移した。]