[それが今。トールは欠けてしまった。
もはや彼らが剣打ち交わすことはなく、
それを眺める機会が巡り来ることも決してない。代わりに、]
…───あれも引き分けだったっけ。
[卒業前の立会いを思い出して、苦笑の形に唇の端を上げた。
勝ったと言い張ってはみたけれども、それだけだ。
結局、勝負はついていないのだ…自分たちも、まだ。
8年の後に巡り来た6年で、自分たちは何が変わったろう。
…何が変わっていないのだろう。
彼に再び勝負を挑む可能性のあろうこと。
それが嬉しいのか悲しいのか分からなくて、
知らず、唇から音のない息が零れた*]