― 宿屋 ―
[雪と風から弟を守りながら歩いていけば、見慣れた三階建ての宿屋が見えた。
日頃は仕事やら悠遠の彼方にいったりと忙しく、あまり訪れない所だが。常に清潔に保たれた客室のベッドは快適だと知っている。
それに、せっかくだから幼馴染みとお酒を飲むのいい機会かもなと]
あぁ―…。
思ったほど、風は強くなかったな。
[髪についた雪を払いながらカウンターを目指して歩くと通路の奥がなんだかざわついていることに気付き、お風呂で事件があったか?と首を傾げる。
しかし、よくよく観察してみると何かあったのは近くの部屋の方ではないか。
あそこはパメラの、彼女は目が…。銀嵐、危なっかしい年下…不安の要素はいくつも思い当る。
周囲の表情を伺う。誰一人笑っている者はいなかった]
パメラに何かあったか?
[色々と推測するのは後回しにして、意識を向けて周囲の言葉に耳を傾ける]