[鎧を削る的確な一撃が見舞う。
跨がる鞍に重みがかかる。
だが、その刃が肉を裂き骨を断つことはないと自負していた。
イルマの鎧にそれだけの信は置いている。
そして、自身の受け流しと騎乗でのバランスの能力もまた計算の内だ。
エストックなどの刺突武器ならまた対処も違うが、太刀ならば、喰らったうえで、こちらの攻撃を乗せる算段。]
──おぉオ…!
[遠吠えにも似た声をあげ、下から擦り上げる刃。
攻撃を止められることはなかったが、機先を制する攻撃を受けて、必中のタイミングはズレた。
ゆえに、刃はタイガ自身ではなくその乗騎へと向かう。
そのままタイガごと橋下へ叩き落とさんと疾風が唸った。]