― 虚無の深淵 ―
[開いた扉を潜り、進んだ先には何もなかった。
薄墨色の虚空が広がるだけの、文字通りの虚無的な空間。
そして、その空間の奥にそれはいた]
……思ってたよりも、大きくなってる、な。
[空間との境界も曖昧な、巨大な球体。
それは侵入者たちに気づくと、ふるふると震えた]
……あれは、『虚無』。
かつて、世界の全てを呑み込もうとした『翳り』。
そして、今再び、地上に溢れようとしているもの。
……今の内に鎮めてまた眠らせないと、神代の繰り返しになる。
けれど、それは避けなきゃならないから……。