― シモンの部屋 ―
[>>216閉口したシモンに言葉を促す事はなく。
ただ、この沈黙が落ち着きを与えることになれば良いと願うのみ。
寝台に腰掛けた負傷兵が包帯を取る様を見れば、
後ろ手に扉を閉めてから、歩を進め。
まず銃に撃たれた傷跡>>216が出てくる。
そうして、その傷がちっぽけであると錯覚してしまうほどに、
ひどく裂かれた怪我を見て、目を見張らせた。]
……これは…、 刀ではないな。
[刃物をどう下手に扱えばこれだけ傷を醜く歪ませるのか。
だから、もっと別のものに裂かれた怪我だ。]
獣………、狼?
[膝を床について傷を確認し、ちらりと視線をシモンの横顔へ。]