― ジークムントの部屋 ―[扉の内から通る声は、木々を抜ける蒼光のよう。開かれた扉の傍で頭を垂れた、その項に視線を注ぎ、歩み寄って手を差し伸べる。] 嬉しいことを言ってくれるね。 私はおまえと会うたびに、胸の高鳴りを覚えているというのに。 突然目の前に現れでもしたら、 きっと、私の心臓は破れてしまう。[我が子の言葉に応えて微笑み、誘われるままに部屋の中へ進む。]